高野山の概要-観光の所要時間、天候、主な文化財など-

このページには、高野山の基本情報をQ&A方式でまとめてあります。

「高野山」って簡単にいうとどんなところ?

高野山とは、和歌山県北東部の山々と、その山中にある宗教都市の総称です。平安初期、空海(弘法大師)が真言密教の修行道場として開創しました。 宗派は高野山真言宗ですが、古くから宗派を問わず広く信仰されてきました。比叡山と並ぶ、日本仏教を代表する聖地です。 平成16年(2004年)には、熊野、吉野、大峯とともに世界文化遺産に登録されました(『紀伊山地の霊場と参詣道』)。

「高野三山」ってなに?

「高野山」という名前の山はありませんが、高野山には八つの山があり、その峰々に囲まれた盆地に宗教都市が形成されています。盆地の標高は800m~900mほどで、東西6km、南北3kmにわたって比較的平坦な土地が広がっています。 そのうち楊柳山(ようりゅうさん・標高1009m)、摩尼山 (まにさん・標高1004m)、転軸山(てんじくさん・標高915m)の三山は「高野三山」と呼ばれています。この三山は弘法大師御廟がある奥の院を囲むようにそびえているため、特に神聖な場所とされています。 この辺りは、和歌山県北部を東西に貫く二つの川、紀ノ川水系と有田川水系の分水嶺となっています。

高野山はなぜ「宗教都市」って呼ばれるの?

高野山には高野山真言宗の総本山・金剛峯寺を中心に、117の寺院があります。 「金剛峯寺」とは、かつては高野山全体の寺院群の総称でした。世界遺産に登録された「金剛峯寺」も、総称としての寺院群を指しています。 現在の「金剛峯寺」は、安土桃山時代に開基された二つの寺院が、明治時代に合併してできた一寺院の名称です。一方で空海が開創した「金剛峯寺」の中心はその西側にあり、現在は「壇上伽藍」と呼ばれています。一般の人にとっては、参拝・見学の中心はこの壇上伽藍となります。壇上伽藍には神社もあり、神仏習合の時代の名残を留めています。 かつての表玄関だった「大門」は、高野山の西端にあります。そこから壇上伽藍、金剛峯寺、苅萱堂などを通って東に向かう参道が高野山のメインストリートで、その終点は奥の院です。 高野山は寺社だけでなく、役場や病院、消防署、警察、銀行、幼稚園、小中学校、高校、大学、居酒屋などを備えたれっきとした「都市」です。山上の人口は4000人ほどで、その4分の1が僧侶です。全国各地の寺を継ぐため、寺で修行をしながら大学に通う若い僧侶も少なくありません。

「奥の院」にも行くほうがいい?

高野山を訪れたら、ぜひ奥の院まで足をのばしてみましょう。 「墓場」という呼び方をすると怖いイメージもありますが、どちらかと言うと「森の中の遺跡群」という感じです。 盆地の東端にある「一の橋」を渡ると、樹齢800年もの巨杉や高野槇に覆われた森に入ります。ここが「奥の院」の参道で、弘法大師御廟まで2キロメートルにわたって続きます。 参道には見渡す限り、墓碑や供養塔が立ち並んでいます。互いに相争った戦国武将たちの供養塔も、ここでは共存しています。中には、数多くの信徒を殺害し、高野山を攻め滅ぼそうとした織田信長の供養塔まであります。 大名や武将だけでなく、庶民の小さな供養塔も無数にあります。数百年にわたって蓄積された死者の魂と、死者に対する人々の思いに圧倒される霊場です。 供養されている歴史上の人物たちは様々な背景を抱えていますが、もし彼らに怨念があったとしても、最奥部の「弘法大師御廟」に鎮座している空海が昇華してくれていることでしょう。

高野山を参拝・観光する所要時間は?

初めて高野山を訪れる場合、一通り見て回るにはどれぐらいの時間を見ておけばいいでしょうか? 壇上伽藍、金剛峯寺、金剛三昧院徳川家霊台など、高野山山内の主要なスポットだけなら、3時間~5時間で回ることも可能です。頑張れば奥の院に行くことも不可能ではありません。 つまり、大阪や京都、神戸などからであれば、日帰りで高野山を訪れることも可能です。 しかし、一つ一つをゆっくり見たり、メインスポット以外も見て回りたいのであれば、1泊2日の旅程で行くのがいいでしょう。夜のライトアップや、早朝の観光客が少ない時間帯も楽しめます。 高野山町石道を歩いたり、高野山周辺の見どころも見て回るのであれば、更に1~2日追加すると余裕を持って高野山を堪能できます。

日帰りや一泊二日で高野山に行くなら、どこを回るのがいい?

日帰りで高野山に行くのであれば、大門⇒壇上伽藍⇒金剛峯寺⇒奥の院というルートを基本に考えて、時間の余裕や興味に応じて徳川家霊台、金剛三昧院、高野山霊宝館、宿坊での精進料理、買い物などのオプションを追加するといいでしょう。 高野山に一泊以上するなら、上記に加えて、女人堂、不動院(美福門院陵)、清高稲荷神社、苅萱堂、高野七弁天、高野山大師教会などを追加できます。 日帰りや1泊2日で高野山に行く場合のモデルコースについて、詳しくは高野山観光モデルコースのページをご覧ください。

高野山の天気や気候は?どんな服装で行くべき?

高野山は標高800m以上の高地にあるため、和歌山県内や大阪府などの平野部と比べると5~7℃ほど気温が低く、冬の平均気温は氷点下に達します。 朝晩は特に冷え込むので、冬はもちろん、春、夏、秋でもそれなりの防寒を持って行くことをお勧めします。 降水量も、平地に比べると多めです。

年平均気温:10.9℃ 1月の最高気温:3.4℃           (大阪市:10℃) 1月の最低気温:-4℃          (大阪市:3℃) 1月の月間降水量:87.6mm       (大阪市:45mm) 7月の最高気温:26.6℃          (大阪市:32℃) 7月の最低気温:18.4℃          (大阪市:24℃) 7月の月間降水量:256.4mm      (大阪市:157mm)

以下のページで、月ごとのおすすめの服装と、高野山で注意すべき服装マナーについて解説しています。 高野山には何を着ていくべき? 月ごとの気温と服装マナー

高野町ってどんな自治体?

高野山がある和歌山県高野町は、その名の通り高野山を中心に発展してきた自治体です。今も高野山関係の観光業が主な産業となっています。 和歌山県の北東部にあり、県内では橋本市、九度山町、かつらぎ町が隣にあります。さらに奈良県の五條市と野迫川村とも隣接しています。

面積:137.08平方キロメートル 人口:2903人(2021年推計) 人口密度:21.2人/平方キロメートル 町の木:高野槇 町の花:シャクナゲ 主要産業:観光業 友好都市:香川県善通寺市

高野山の主な文化財は?

高野山には多くの貴重な文化財がありますが、代表的なものを挙げると以下のようになります。

多宝塔(金剛三昧院)    国宝・世界遺産    1223年建立 不動堂(壇上伽藍)    国宝・世界遺産    1197年または1198年建立 14世紀再建 1908年移設 山王院本殿(壇上伽藍)    重要文化財・世界遺産    1522年再建 西塔(壇上伽藍)    重要文化財    887年建立  1834年再建 大門    重要文化財・世界遺産    1230年建立  1705年再建 大主殿など9棟(金剛峯寺)    重要文化財・世界遺産    桃山時代建立  江戸後期再建 四所明神社本殿(金剛三昧院)    重要文化財・世界遺産    1552年建立 客殿及び台所(金剛三昧院)    重要文化財・世界遺産    江戸初期建立 経蔵(金剛三昧院)    重要文化財・世界遺産    鎌倉時代建立  1496年移設 書院(不動院)    重要文化財    安土桃山時代建立 四脚門(普賢院)    重要文化財    寛永年間(江戸時代)建立  1892年移設 佐竹義重霊屋(清浄心院)    重要文化財・世界遺産    安土桃山時代建立 上杉謙信霊屋(清浄心院)    重要文化財・世界遺産    江戸初期建立 校倉(常喜院)    重要文化財    1631年頃建立 松平秀康及び同母霊屋(奥の院参道)    重要文化財・世界遺産    1607年・1604年建立 五輪塔(奥の院参道)    重要文化財    鎌倉時代建立 多層塔(奥の院参道)    重要文化財    鎌倉時代建立 奥院経蔵(奥の院)    重要文化財・世界遺産    1599年建立 家康霊屋、秀忠霊屋(徳川家霊台)    重要文化財・世界遺産    1643年建立

これらの建築物以外に、国宝・重要文化財指定を受けた彫刻などの美術品もあり、その多くが高野山霊宝館で所蔵されています。