高野山への鉄道アクセス-主要路線と大阪での乗換を地図で解説-
高野山には鉄道の駅はありませんが、山の中腹にある極楽橋駅まで南海高野線で行き、そこからケーブルカーで登ることができます。 各地から高野山にスムーズに行くための鉄道路線と、大阪での乗り継ぎを詳しい地図つきで解説します。 車やバスなど、鉄道以外の交通手段と比較したい方は、以下もご参照ください。 高野山へのアクセス -電車・車・バス・飛行機を比較-(ZueMaps)
このページに掲載しているルートマップは、下のカルーセルの地図帳でまとめて見られます。横にスライドして地図を切り替え、キャプションの文字をすればそれぞれのパートに素早く移動できます。
地図帳(高野山に行くための鉄道路線マップ)
近畿地方の鉄道路線
以下の地図は、高野山へのアクセスに関係する近畿地方の鉄道路線マップです。 遠方から鉄道で高野山に行く場合、新幹線で新大阪まで行って乗り換えるのが便利です。名古屋からだと近鉄も使えます。
南海高野線の路線地図
大阪周辺から、電車で高野山に行く経路の中で最もおすすめなのは、大阪・ミナミの難波駅(なんば駅)や新今宮駅などから南海高野線(なんかいこうやせん)に乗っていくルートです。 以下は南海高野線の鉄道路線マップです。中央を南北に縦断している赤い線が南海高野線です。
南海高野線の「特急こうや」に乗ると、たった90分で高野山の麓にある「極楽橋駅」に行けてしまいます。そのあとケーブルカーやバスに乗り換える必要はありますが、荷物が多くなければ、車を運転するより楽かも知れませんね。 高野山・山内のバスの利用も考えると、鉄道のチケットを買う際に、「高野山・世界遺産きっぷ」という南海電鉄と南海りんかんバスのセット券を購入するとお得になることがあります。「高野山・世界遺産きっぷ」は、特に1泊2日の旅程で高野山を旅する場合におすすめです。
「日本最古の私鉄」の原点・南海高野線とは
南海高野線(南海電気鉄道高野線)とは、正式には大阪市浪速区にある汐見橋駅から、高野山の麓、極楽橋までの鉄道路線のことを意味します。しかし汐見橋駅から岸里玉出駅までは、事実上は高野線から完全に切り離された「南海汐見橋線」というローカル線になっています。汐見橋駅は、南海電気鉄道の歴史にとって大切な駅であることから、「南海高野線の0kmポスト」がある『始発駅』とされているようです。 実は、南海電気鉄道は現存する中では日本で最も古い歴史を持つ私鉄。1884年(明治17年)に大阪と堺を結ぶ鉄道会社として設立されました。それまで半官半民の鉄道会社はありましたが、純民間資本としては、この「阪堺鉄道」が日本の歴史上最初の私鉄となります。
その後、合併や分離が繰り返されますが、「南海鉄道」という名前になったのは1898年のこと。「南海」というのは律令制の「南海道」、つまり紀伊・淡路と四国の国々を意味します。和歌山方面に路線を広げたことから、この名前になったようです。 「南海電気鉄道」になったのは、終戦後の1947年。実は「南海鉄道」は戦時中にいったん「近畿日本鉄道」の一部になっていましたが、戦後に分離独立したのです。 独立の際、高野下駅から高野山駅までの鉄道とケーブルを運営していた「高野山電気鉄道」に事業を譲り渡す形にしたことから、形式上は「高野山電気鉄道」がこの会社の本流となります。実際、「南海電気鉄道株式会社」の設立は、「高野山電気鉄道」が設立された1925年ということになっています。 いろいろ複雑ですが、法人としての南海電鉄は、高野山の鉄道から出発していたのですね。つまり、南海高野線はこの会社にとって原点であり、だからこそ「歴史上の始発駅」を守り続けているのでしょう。
南海電鉄は、プロ野球の「ソフトバンクホークス」の前前身である「南海ホークス」も経営していた会社でもあります。 とは言っても、乗客の立場から見ると、難波駅(なんば駅)が「南海高野線」の始発駅になります。「日本最古の私鉄」のこだわりに興味が湧いた人や、レトロな電車に乗ってみたい人は汐見橋駅に行ってもいいですが、鉄道のことはどうでもいいから早く高野山に行きたい人は、素直に難波駅や新今宮駅などで乗車しましょう。
新幹線から南海高野線への乗り継ぎ方法はどれを選ぶ?
南海高野線の主な乗車駅は、難波駅、新今宮駅、そして天下茶屋駅です。新幹線で大阪に到着した場合の主な選択肢は、難波駅か新今宮駅での乗り継ぎです。どちらを選ぶのがいいでしょうか? 以下の鉄道路線マップでは、JRを黒い線で、私鉄路線を青い線で表示しています。ただし、遠方から新大阪(または大阪や上本町など)に到着し、南海高野線に乗り継ぐ際に利用するJR路線は赤紫色の太線になっています。
所要時間や乗り継ぎ回数が最も少ないのは、新大阪から大阪メトロの御堂筋線に乗り換えて難波駅(なんば駅)に向かう方法です。乗換案内のサイトやアプリ等でも、難波駅で乗り換える経路が一番上に表示されることが多いと思います。
新大阪駅から難波駅まで、御堂筋線で15分~17分。運賃は280円です。 なお、大阪メトロでも南海電鉄でも、「難波駅」の表記は漢字が正しいのですが、駅などの案内表示では「なんば駅」とひらがな表記されています。少し離れた場所にJRの「難波駅」もあるので、ちょっとややこしいです。 一方、運賃を少しでも節約したい場合は、新今宮駅で乗り換える方が安くなることが多いです(特に遠方から来た場合)。ただし、乗り換えの回数は一回増えます。 新大阪駅からJR京都線に乗り、大阪駅に行きます。大阪駅でJR大阪環状線内回り(西九条・弁天町方面。市街地の西側を回ります)に乗り換えて、新今宮駅に行き、ここで南海高野線に乗ります。 遠方からJRの電車に乗って来た場合は、新大阪まででも新今宮まででも運賃が同じになり、地下鉄の料金が節約できるのです。 JR京都線とJR大阪環状線に乗車した場合、新大阪駅から新今宮駅までの所要時間は合計で30分ほどです。
JR在来線や近鉄で大阪に到着した場合の乗り換え案内
京都や神戸(三宮)などからJRの在来線で大阪駅にアクセスした人は、そのままJR大阪環状線に乗り換えて新今宮に向かいましょう。大阪から新今宮までの所要時間は約17分です。 奈良から高野山への電車でのアクセスは、JR大和路線の難波行に乗り、新今宮で降車して南海高野線に乗り換えるのが一番スムーズです。(他にも、柏原や道明寺、河内長野を経由する方法や、王子や五条、橋本を経由する方法もあります)。
名古屋~高野山の鉄道路線の中では新幹線を利用するルートが最も早いですが、近鉄を利用すると安上がりになります。
その場合、近鉄名古屋駅から「近鉄名古屋線特急・大阪上本町行」に乗り、大阪上本町駅で近鉄奈良線に乗り換え、近鉄の「大阪難波駅」で降車して南海高野線の難波駅まで歩きます。 他の近鉄沿線から大阪経由で高野山に向かうコースでも、大阪では同じような経路になります。
空路で伊丹空港・関西空港に到着した場合の乗り換え案内
飛行機で伊丹空港(大阪国際空港)に到着した場合は、OCAT(大阪シティエアターミナル)行きのバスに乗ります。伊丹空港からOCATまでの所要時間は約30分。OCATはJRの難波駅に直結しているので、地下1階の改札からJR南海線(南海電鉄ではありません)に乗って新今宮に向かうか(乗車時間は2分)、南海高野線の難波駅まで歩きます。 旅程次第ですが、荷物が多い人は新今宮に行き、ミナミで散策したり時間をつぶしたい人は南海高野線の難波駅まで歩くのがよさそうですね。
空路で関西空港に到着した人は、南海空港線・南海本線に乗って天下茶屋駅を目指します。所要時間は40分。天下茶屋で、同じ南海の高野線に乗り換えます。
ただし電車のタイミング次第では、JRの関空快速で新今宮に行って乗り換えるという選択肢もあります。こちらの所要時間は約53分です。 以下のルートマップでは、泉佐野から岸和田、堺を通って岸里玉出まで引かれている青い太線が南海本線、天下茶屋から南東に向かっている赤紫色の太線が南海高野線です。
南海高野線の特急「こうや」
南海高野線には2種類の特急列車があります。「こうや」と「りんかん」です。 「りんかん」は難波駅と橋本駅の間を結ぶ特急で、高野山の麓の極楽橋には行かないので、難波から極楽橋まで直行できる「こうや」についてご案内します。 「こうや」は全席指定の特急列車です。特急料金は790円(難波、新今宮などから極楽橋まで)。
南海電鉄の「高野山・世界遺産きっぷ」を買うと、電車とケーブルカーの往復割引に加えて、高野山内のバスの2日フリー乗車券がついてきて、難波発の場合640円得をすることになります。他にも、金剛峯寺、金堂、根本大塔、霊宝館の拝観料が割引になったり、お土産が1割引になるサービス券もついてきます。有効期間は2日間なので、1泊2日の旅程で電車で高野山に行き、いろいろ観光してまわる人にはおすすめです。 橋本駅から極楽橋駅までは車内放送で高野山の観光についての案内があり、観光列車という感じになります。なお、「こうや」には飲み物の自動販売機はありますが、車内販売はありません。 車両は、30000系という「いかにも特急列車」という感じの外観の系統と、31000系という快速列車っぽい雰囲気の系統の二種類があります。 30000系だと、前方の景色を楽しめる座席があります。先頭車両の、運転席のすぐ後ろです。この座席に座りたい場合は、1号車の3番か4番、または4号車の49番か50番を予約しましょう。
「こうや」の停車駅は、難波、新今宮、天下茶屋、堺東、金剛、河内長野、林間田園都市、橋本、極楽橋です。平日は約1時間~2時間間隔、土日・休日は約30~90分間隔で運行しています。
特別列車「こうや花鉄道 天空」
南海高野線には、「こうや花鉄道 天空」という観光用の特別列車があります。レトロな外観と、車窓を堪能しやすくなる「ワンビュー座席」、展望デッキなど、旅心をくすぐる工夫がこらされた列車です。 「天空」が運行しているのは、高野山周辺の山間部の20キロほどの区間(橋本~極楽橋)です。443メートルの標高差を登っていく間に、花々や紅葉など季節の風景や、渓谷美、山岳地帯のパノラマなど、さまざまな車窓を楽しめます。
「こうや花鉄道 天空」に乗るためには、まず南海高野線の橋本駅を目指します。橋本駅は、南海高野線とJR和歌山線が交差する交通の要衝。難波駅から橋本駅までは、南海高野線の急行で50分ほどです。
「こうや花鉄道 天空」に乗るには、乗車券とは別に座席指定券(大人520円・小児260円)が必要です。 運行日は、3月から11月までは毎日運行(水曜日・木曜日を除く。水曜日・木曜日が休日の場合は運行)、12月から2月までの冬季は土曜日と休日のみの運行になります。年末年始(12月30日~1月3日)は運行しています。 1日2~3往復なので、事前に時刻をご確認ください。 「こうや花鉄道 天空」運行ダイヤ 乗車日の10日前から前日までは、「天空予約センター(0120-151519」で電話予約もできます。
お得なセット券「高野山・世界遺産きっぷ」
大阪から高野山には日帰りで行くこともできますが、見どころが多いので、少しあわただしくなります。ゆっくり見て回ったり、ライトアップされる夜の伽藍群などを見るためには、1泊2日で行くのがおすすめです。 1泊2日の旅程で高野山に行く場合は、大阪市内で南海高野線に乗る前に、電車と路線バスのセット券「高野山・世界遺産きっぷ」を買っておくとお得になります。
「高野山・世界遺産きっぷ」とは、大阪市内などから高野山駅までの往復乗車券(ケーブル含む)と、高野山山内のバスが2日間乗り放題になるフリーパスとのセット券のこと。寺院の拝観料や土産物の割引券もついています。 この共通券・割引券について詳しくは、路線バスのページもご覧ください。
極楽橋駅から高野山へ(高野山ケーブル)
極楽橋駅から高野山までは、300メートル前後の高低差があります。これを一気に登るのが、日本屈指の歴史を持つケーブルカー「高野山ケーブル」です。 「高野山ケーブル」は法律のうえでは「鋼索鉄道」にあたるため、「南海鋼索線」とも呼ばれます。 高野山ケーブル(高野山ケーブルカー)は1930年(昭和5年)に開通しました。生活路線としての役割もあったため、戦時中も撤去されずに残りました。現在運行されている中では日本で最も長い伝統を持つケーブルカーの一つです。
PiTaPa、ICOCAなどのIC乗車カードが使えるようになった、日本で最初のケーブルカーでもあります。
高野山ケーブルの運行は、南海高野線の極楽橋到着時間に合わせています。運行間隔はまちまちですが、だいたい10から40分ごとになっています。所要時間は5分、運賃は片道500円(小人半額)です。
高野山ケーブルの参考情報
- 運賃
- 大人380円 小児190円(極楽橋駅~高野山駅の片道料金)
- 所要時間
- 約5分(極楽橋駅~高野山駅)
- 予約
- 不要
- TEL
- 06-6643-1005
- 公式サイト
- 天空の聖地へ 高野山ケーブルカー
南海高野山ケーブルの高野山駅からは、南海りんかんバスに乗り換えます。詳しくは以下のページをご覧ください。